525 ポリコレの辺縁 =南国の史実=

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経営コラム SOLID AS FAITH 第525号
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 ご愛読ありがとうございます。第525話をお届けします。

 当コラムの年内発行も今号を含めて二号です。早くもまた一年が過ぎまし
た。政権交代なども含めて、通称武漢ウイルスに振り回され続けた一年であ
ったように感じる方も多いことと思います。中小零細企業にとっては経営環
境の激変として考えるべきですが、激変は必ずしも脅威ばかりではなく、多
様な機会ももたらします。

 弊社のクライアント企業にも、一般消費者が家に籠る時間が増え近隣での
活動が増えた結果、多数の新規顧客獲得ができた小売店舗や、夥しい数の業
界他社が撤退を進める中、経営体質を鍛え踏み止まった結果、受注が集中し
て合法な残業時間限界ギリギリの繁忙状態の企業もあります。
 
 弊社代表の市川は、凡事徹底的な経営の基礎力を伸ばし、厳しい業界にた
だ生き残ることで、他の撤退していった同業他社のシェアを労せず獲得する
ことによる利益を「残存者利益」と呼び習わしています。当たり前の経営を
きちんと続けることで生き残る。すると、発注先に困ったお客様がどんどん
集まってくる。そのような現象は今回のかなり誇張が過ぎた感じのする疫病
騒ぎの場合のみならず、災害復興の場面などでも、発動した政府支援策の終
わりが見えてくると頻繁に発生します。
 
 VUCAの時代と言いますが、世の中の幾つかの主要なファクターが際立った
せいで、自分の周囲にもたらされる影響は以前よりもよく見えるようになっ
てきたように思えます。資金は市中に溢れ返り、仕事がないと訴える人々は
増え、競合はバタバタ潰れ、IT系の優れたツールも値崩れを起こし使いやす
くなり、価値観は多様化して細かなニーズはそこここに満たされないまま存
在し、おまけに世の中全体がじわじわと読み易くなる。見ようによってはこ
れほど中小零細企業にとってビジネスをやりやすい環境はないかもしれませ
ん。後は考えながら走り出すだけのように見えます。弊社ではそんな中小零
細企業経営者の方々を泥臭く支援してまいりたいと思っています。

 今回の号は過去最長シリーズ全10回の第9回目です。タイトルは『ポリコ
レの辺縁』。LGBT系の人々や人種差別撤廃を叫ぶ人々が考える以上に、世の
中の多様化の実態は進み、その対応は混迷し始めているように感じます。映
画『空白』では万引き犯の女子高生を追ったミニスーパーの店長が「行き過
ぎた対応をした」と責められ廃業にまで至っています。『ポリコレの辺縁』
では、中小零細企業の多様な価値観や多様な人々との付き合い方の一端を考
えてみます。ご意見・ご感想をお待ちしております。頂戴したご感想などへ
のお返事の目標納期は5営業日!!

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その525:ポリコレの辺縁 シリーズ『南国の史実』(9)

「私達は今戦争の真只中にいる。私達にも今できることを考えるべきだ」
 学食の脇のスペースで10人ほどの男女が円陣のようになって大声で主張
し合っていた。それは湾岸戦争開始のニュースが流れた初日、オレゴン州の
片田舎の大学でのこと。それから数日後、留学生の友人と車でホームセンタ
ー的な店に行くと、ワゴンセールに人だかりができていた。私には機関銃に
見える連射式ライフル、それ用の箱詰めの銃弾、そしてサダム・フセインの
顔が大きく描かれた的がセットでワゴンの中に無造作に積まれていた。

 その光景の違和感に呆然としていると、米国人の同級生が「ヘーイ」と歩
み寄ってきた。手には品数の限られたセットの奪い合いでの戦利品が握られ
ている。「早くお前も買った方が良いぞ。売り切れてしまう。フセインが上
陸してきたらどうするんだ。誰もが戦う必要が出る。日本人は銃を撃ったこ
とがないのか。一緒に練習しよう。ああ、まずは許可証をゲットしなきゃダ
メだな。IDは持っているか」と親切心でまくしたてた。

 フセインは太平洋を遥々渡って西海岸に上陸するらしい。そしてオレゴン
の片田舎も蹂躙しなくては気が済まないらしい。上陸軍の陣容は分からない
が、少なくとも連射ライフルで応戦できるらしい。インターネットのない時
代。どこから噂が広まるのか分からないが、大学生の中にさえ、大真面目に
フセインを迎え撃とうとする者が間違いなく存在した。

「自分のしてほしいことは、他人もしてほしいことだし、自分の考えている
ことは、他人も似たように考えているはずです。そこに手がかりがあります。
 自分の思うように他人を動かし、他人を変えることは容易なことではあり
ません。では、どうしたらよいのか。もっとも簡単ですぐできて、極めて効
果的な方法は、人を変えるより自分を変えることです。そうすれば自然に人
も変わります」。
 九州の過疎地域に展開する24時間営業の巨大スーパーの経営者が書いた
『利益第二主義』にある、従業員に接する経営者の心得。従業員が全員親戚
でも実現が困難そうに見える。

 或る日、関西圏のクライアントを訪ねると、社長が路上にわざわざ出て
「内密に」と話しかけてくる。聞けば、店舗の売上金が伝票売上より下回っ
ているという。おまけに、ある特定の社員が入社してから、差額は発生し、
半年で80万以上ずれているという。「それは差額ではなくて窃盗でしょう」
と私が言うと、「でも証拠も何もないのですよ。疑われると社員は傷つく
じゃないですか」と社長は真顔で言った。

 耳を疑うことを言う人はそこら中にいる。他人からは多分私もその一人だ
ろう。「人類みな兄弟」は往年のCMの有名キャッチ。しかし、「兄弟は他人
の始まり」ともいう。

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☆当コラムはプリントアウトしてお読みいただくと、より一層楽しめます。☆
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『萬屋日和』 「会社の萬屋 企画改善請負本舗」からのPR

「会社の萬屋 企画改善請負本舗」の奥田美幸です。
人手不足が課題になっていたあるクライアント様にて
外国人労働者の派遣会社に対するブリーフィング支援を行ないました。
任せる予定の業務や必要なスキル、会社の求める人材像を解説することで、
自社が期待する人材をきちんと伝えることが、
外部業者である派遣会社をきちんと使いこなすことに繋がります。

初回の派遣された社員は正社員登用を希望したことで
退職することになりましたが、
期待するスキルを持つ人材を派遣してもらうことで、
人材が入れ替わっていくことを前提に
スキルを維持していくことが可能となります。

詳しくは以下のヨロズヤのウェブサイト
「人に関するお悩み」ページからご笑覧ください。
https://kaisha-yorozuya.support/works/solutionsaboutpeople-exp/

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『萬屋のもっと深く愛してい』第22回「VR」

近年ゲームに応用されるなどして話題になっている「VR」。頭にゴーグルを
付けてVRを体験している場面の映像を見たことがある方も多いかと思います。
VRデバイス自体は高価なままではありますが、VRを使ったゲームセンターが
できたりするなど比較的安価で体験できるようになり、一般の方でもテレビ
や映画、シミュレーション・ゲームなどで実際に体験したことのある方もい
るのではないでしょうか。

VRは、「Virtual Reality(バーチャル・リアリティ)」の略で、日本語で
は「仮想現実」と訳すことが多いです。CGを使って現実に近い仮想空間を作
り出し、現実かのように体感させる技術のことを表し、人間の五感を同時に
刺激することで仮想空間への没入感を与えます。仮想空間とわかっていても
現実とわからなくなるほどのリアルさが注目されており、日常ではありえな
い世界を体験したり、実際に行動する前のシミュレーションをできたりする
のがVRの魅力となっています。

近年では、テレビや家庭用ゲーム機、スマートフォンなどのエンターテイン
メント産業だけでなく、医療や観光、スポーツ、教育など生活の一部である
実用的な分野でもVRが活用されることが増えています。

例えば、医療の分野では外科手術のシミュレーションにVRが活用されていま
す。当たり前ですが、手術を人間で練習することはできませんので、これま
では画像や模型で行なわれていました。VRを使用することで、実際の手術の
感覚を知ることができるだけでなく、想定外の状況になったときの対応など
も体験することが可能となります。同様に企業の現場でも現実の場で初心者
が練習することが困難な作業などを対象にトレーニング用のVRが少しずつ
普及し始めています。

今後技術がさらに進化した際に、新人教育のための現場研修をVRで行なうな
ど、バーチャルな空間で業務を体験することもできるかもしれません。

このテーマについてさらに詳しいご説明が可能です。
ご希望の方は萬屋までご一報ください。
contact@kaisha-yorozuya.support

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【MSIグループの仕入完了報告(抜粋)】

■『高畑充希が演じる役は
  なぜ忖度できない若者ばかりなのか』 堀井憲一郎 著
■『絶対達成バイブル』 横山信弘 著
■『真説・企業論 ビジネススクールが教えない経営学』 中野剛志 著
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発行:「企業から人へのコミュニケーションを考える」
 合資会社MSIグループ(代表 市川正人)
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次号予告:
 第526話 『人非人業界』
 シリーズ『南国の史実』(10) (12月25日発行) 
 人の質が勝負の中小零細企業。その組織の人々の学びはどのようにあれば
良いのか。南九州の巨大スーパーの経営者の著書の内容を検証してみました。
全十回の長編シリーズのとうとう最終回です。

(完)